丁抹よろず帖
北欧デンマークに在住のメンバーから、生活感溢れるデンマークをお届け
2011/08
25
自分の体を守る
夏休みや週末に、高齢者の居住するアパートでバイトをしています(Lokalcentre Plejebolig)。私の働いている建物では、23人が大抵は一人、もしくは配偶者と生活をしています。ヘルパーが日勤帯では7人?、準夜勤帯で3人、等、24時間建物の中で待機し、援助しています。
雇われてまず最初に他の臨時職員とともに、施設リーダーなどから施設の概要などの説明、被雇用者の代表から被雇用者の権利・職場環境のことなど、消防・防災のこと、(援助者が利用者に対する)権力の行使について、衛生と薬の取り扱いについて、痴呆について、移乗等の極基本的な介助技術・機器の使い方、等の講習会を受けました。
その中で驚いたことが、介護技術の講習を受けている際に、講師が言った言葉です。「介助中に、もし利用者が倒れ掛かってきたら、さっと体を引きなさい。自分の体を守るために」
私は、「うん、うん。うん、うん。 、、、、、、、、、、、、(理解するのに要した時間)えぇ?!」
語学力もないので講習中ほとんど声を発しなかった私ですが、この時ばかりはかなり大きな声で「えぇ?!」と日本語で反応してしまいました。
それから実際に現場でも、、、ゲストとともに過ごしていたある利用者が、車いすから半分ずり落ちた状態に。その場に訪問した私ともう一人の正職員、二人でなんとかずり上げようと試みました。その際、正職員の彼女が「自分の腰、守ってね!無理しないで!」と私に何度も声をかけてくれました。もうあと少しでずり落ちていくだろう利用者とその家族の目の前で。ここで私が実感したことは、どんな状況においても自分の体の無理のない範囲で、自分の体を守りながら、利用者を援助する、というデンマークのやり方でした。
ちなみに、その後、利用者やその家族から苦情などは一切ありませんでした。
講習の内容からもわかるように、利用者の人権を保護する、尊重する内容のもの(権力の行使について)そして労働者の権利を保護する、尊重する内容のもの(被雇用者の代表から被雇用者の権利・職場環境のこと)、立場の異なる両者の権利が、組織だってきちんと守られていること。「利用者が第一番」ではなくて、「両方とも大事」という考え方に、私は驚き、感心しました。
でもそうする理由には、もっと現実的な事情があるのも、世の中の常とも思います。きちんと調べたわけではないのですが、現場でケガを負い職場復帰できなくなった労働者を、労働市場に復帰させるためにかかる費用を考えると、予防や事故を未然に防ぐ環境を作っておくことが、より経済的だという見方もあると思います。
それでもこんな経験を通して、福祉国家デンマークといわれる、(全ての)人に優しいデンマーク社会の一端を見たような気がしました。
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![写真[0]](http://sns.egmont.jp/img.php?filename=t_696_1_1210974669.jpg&w=180&h=180)